執事と共に雪遊びを。
雪は、少し固くはなっているが、なんとか雪合戦はできそうだった。

恵理夜は、的となる雪玉を作り、十歩ほど離れた。


「タクミくんも、やるでしょう」


タクミと呼ばれた少年は、恵理夜になつくように頷いた。


「あの雪玉に向かって雪を投げて、多く当てたほうが勝ちね」

「わかった」

「春樹は、」

「審判をやらせていただきますよ」


春樹の合図で、二人は小さな雪玉を投げつけた。

恵理夜の顔にも、タクヤの顔にも無邪気に楽しむ表情が全面に出ていて、春樹は目元を緩ませた。
< 78 / 156 >

この作品をシェア

pagetop