桜色の初恋
プロローグ
放課後の実験室。
カチャカチャと音を鳴らせてビーカーや試験管を洗う音が聞こえる。
日差しはこの時間にはすでにオレンジ色に変わって
あまり人がこないこの場所を照らしている。
少しだけドキドキしながら
その背中を見つめて。
それから
「ね、先生。あたしを1週間だけ恋人にして欲しいの」
ありったけの勇気を振り絞って声を出す。
洗う手を止めてゆっくりこちらを振り向く先生は
戸惑う様子も見せなくて
凛としていて。
まっすぐあたしを見つめる。
< 1 / 42 >