桜色の初恋
「何で笑うんだよ」
だってそれは―――
「先生があたしの事少しでも想ってくれてるのが嬉しくて」
先生の瞳を見つめながら言うと
「バカ大人をからかうなよ」
そう言って机に移動する。
「あれ?人間観察は?」
「そりゃあもう終わり。今から俺は仕事なんだよ。お前は黙って勉強でもしてろ」
「ちぇっ」
ちょっと不貞腐れたように言うと
先生はクスっと笑って仕事を始めた。
カチャカチャと
キーボードを打つ音だけが響く。
部屋は外と比べ物にならないくらい暖かい。
そんな暖かくて
優しい彼の横であたしはいつしか瞳を閉じていた。
「・・い・・・おい」