幕末恋模様~時を越えて~



「…あのガキ。大丈夫か杏里。」
「あ、はい。大丈夫、です。」
「お前もみんなのとこへ行っとけ。俺は近藤さんを呼んでくる。」


そう言って土方は近藤の部屋へと歩いていった。
ぽつんと残った杏里はみんなが集まっているであろう場所へと向かった。


「あ、やっと来た!杏里遅せぇぞ!」


原田が少し怒った風に言う。


「ごめん、ごめん。」


沖田と目があったが、さっきの事が鮮明に記憶されているため、
ぱっと逸らしてしまった。
するとタイミング良く土方と近藤が入って来た。


「それで土方君、彼女はどうするんだい?」


山南が杏里の方をちらっと見て言った。


「あぁ、杏里には小隊を持ってもらう。」
「何言ってんですか、そんなのできるわけないでしょう?!」


土方の突然な発言に当然周りは目を丸くした。


「そうだぜ土方さん。こいつの未来を潰す気か?」
「まぁその時はその時だ。」


アバウトな返事をし、杏里の方へ向き直る。
おいおい、なんてアバウトな…。
本当に大丈夫なんだろうか…。


「心配すんな。基本お前の配属は一番隊だ。」


深いため息をついて杏里は答える。


「どうせ私が承諾しなくても副長命令だって言うつもりだったんでしょう?
やってやりますよ。」


幹部たちが解散した後、杏里は頭を抱えて残っていた。

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