幕末恋模様~時を越えて~
あー…。何で承諾したんだ、私は。
一番隊に配属?さっきの見てたのにも関わらずでか。
沖田と顔合わせにくいじゃんかー…。土方さんのアホ。
どれだけの時間悩んでいたのだろうか。
気がつくと太陽が西へと傾きかけていた。
「あれ?杏里、まだいたの。」
杏里は恨みがましそうな目で沖田を睨んだ。
「そう睨みなさんなって。俺何かした?」
「忘れたとは言わせねぇぞ!!なんで土方さんの前で…その…」
真っ赤になりながら反論してくる彼女を沖田は愛おしく思った。
「接吻したって?言ったじゃん、俺は杏里が好きだって。」
「私は…お前なんか嫌いだっ!」
ヒュッと拳を繰り出したが、軽々とかわされ沖田はそのまま逃げる。
なんでこんなにもドキドキするんだろう。
私は沖田の事が好き、なのか?
「ほら、追いつい…ゲホッ、ゲホッ…。」
ビシャッ。
「…っ!沖田、お前…。」
血を吐いた沖田の背中をさすってやる。
「もう、大、丈夫だから。ありがとう。」
沖田は、さする手を止めさせ、まだ辛そうだが微笑んだ。
「この事は土方さんや近藤さんには言うな…。」
「だけど…!」
「今、俺が抜ける訳にはいかないんだ。」
グッとものすごい力で手首を握られ痛さに顔を歪めるが、
握った本人は今までにないぐらい真剣な目で杏里を見ていた。
「…わかったよ。だけど無理はすんな。」
「杏里は心配性だね。大丈夫だよ。」
雑巾取ってくる。と言って沖田は出て行った。