幕末恋模様~時を越えて~
* * *
カラン。コロン。
「しっかし、なんでまた急に非番なの?」
どうやら自分達が非番になったことに疑問を持っているらしい。
「まぁいいじゃん。おぉ!屋台がたくさんある!」
「杏里は祇園祭初めて?」
「うん。私が住んでた所は違うから行ったことないんだよ。」
リンゴ飴や射的、飴細工の並ぶ屋台を見て目を輝かせる。
「そう。じゃぁ今度の宵山一緒に行こう。今日はこの祭りを楽しもうか。」
せっかくの非番だしね。と言って手を差し伸べる沖田に対し
杏里はハテナマークを頭のまわりに浮かべた。
「ほら手、貸して。夕方になると人が多くなってくるから。はぐれたら困る。」
そう言って、杏里の手をしっかり握った。
とくん。
うん、自分の気持ちに嘘つくのは止めだ。私は総司の事が好きなんだ。
でも今まで通りでいいよな。
沖田に手を引かれたまま歩きまわる。
本当に日が暮れるにつれ人が増えて来た。
はぐれないようにしなきゃな…。
って、あれ……??
「総司がいない……。」