こんな娘で、ごめんね。
ある日。


『今日の授業は、校庭でゲームです! 授業が進み過ぎたから、お休みです』



担任の女教師が言った。クラスのみんなは、授業が遊びに変わり、歓声をあげた。



そのゲームは、電車ゲームという奴だ。



各自一人一人、じゃんけんしていって、負けたら後ろに回って、勝った人の腰をつかみ、一緒に勝った人の後をついて歩いてく。


そして、


ひとつのグループを作っていき、各グループの先頭同士が、じゃんけんしながら、最後には、電車のように長くつらなっていく。



あたしは、仲間になんて入れてもらえなかった。



「じゃんけんしよ?」と言っても、クラスメイトからは、逃げられた。



みんな、
どんどんグループを作り、列を作っていく。



あたしは、ひとりぼっちで叫ぶ。




「ねぇ! じゃんけんしてよ」



誰もあたしの声に
耳を傾けない。



誰もあたしと
目を合わそうとしない。



ぐるぐる、あたしの回りを電車を作ったクラスメイトが、通り過ぎていく。




ねぇ、あたしはここだよ?


ここにいるんだよ?



なんで、見てくれないの?


なんで、聞いてくれないの?


R子ちゃんが、先頭の電車を見つけた。R子ちゃんが、笑ってる。



あたしは、必死にR子ちゃんの名前を叫んだ。




「R子ちゃん!! R子ちゃん。じゃんけんして!」





R子ちゃんは、必死にすがりつこうとしたあたしの手を振り払った。



『やだ! 触らないで』



「なんで!? R子ちゃんが、イジメられてる時。あたし、何もしなかったじゃん! なんで、なんで助けてくれないの? あたし、R子ちゃんがイジメられてる時、助けたじゃん」



『はぁ? あの時、私は、晴美ちゃんに助けてくれなんて言ってないよ。晴美ちゃんが、勝手にしたことでしょ? 私。またイジメられたくないの。晴美ちゃん、来ないで。バイバイ!』



絶句した。



R子ちゃんの言葉が、胸に突き刺さった。
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