こんな娘で、ごめんね。
あたしが、何日も家に帰らなくても、父は、あたしなんか、一切探そうとはしなかった。



久しぶりに、父が家にいる時に帰ると、母があたしに泣きついてきた。


父は、そんな母に言った。



『こんな奴なんて、ほっとけ!』



今度は、あたしを睨みつけた。



『親に向かって、なんだ、その目は! お前なんか、外で、野垂れ死にするなら、しろ。家から出て行きたいなら、出ていけ! 帰ってくるな!』



と、あたしに言った後。父は、おもいっきり、リビングのドアを閉めた。




母は、泣きながらあたしの肩を掴んだ。



『なんでなの? なんで、あんな明菜ちゃんみたいな子と遊ぶの? なんで、もっと、ちゃんとした友達作らんの? もっと、まともな子と遊ばんの? 明菜ちゃんと友達をやめなさい』




あたしは、母の言葉にキレた。人を見かけだけで判断するのが腹たった。



まともな子、ちゃんとした友達と繰り返す母にイライラした。



明菜には、明菜の苦労があって、涙がある。明菜の内面も知らないくせに…!



母は、なにもわからない。わかってはくれないし、わかろうとも思ってない。


世間体ばかりを気にして、体裁を繕うことだけ。



母の腕を振り払うと、あたしは「金だせよ! 早く!」と、言った。




玄関の外では、族車がエンジンをふかしながら、待っていた。





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