こんな娘で、ごめんね。
改造したCBX。
爆音の竹やりマフラー。
三段シートには[喧嘩上等]の文字。



週末は、男たちの暴走行為に、明菜とあたしは、参加する事が、しばしばあった。



明菜は、チームの頭。暴走族の総長の彼女で、彼は、明菜をバイクの後ろに乗せて、ラッパで、ゴットファーザーをよく奏でていた。



彼といる時の明菜は、幸せそうだった。二人でふざけ合いながら、キスをしたり、抱き合ったり。



明菜は、
よくあたしに言っていた。



『アイツの為なら、命張れるんだ。本気で人を好きになったら、自分の命なんか惜しまない』



って。



自分の命さえ、
惜しいと思わない、激しい恋。



あたしには、
そんなの分からなかった。



誰かを
本気で好きになることも。



誰かから、
愛されたこともない
あたしには…。




いつか、
あたしもそんな風に
人を愛せるのかな。




愛することが、できるんだろうか。




でも……
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