こんな娘で、ごめんね。
「殺せよ。生まなきゃよかったんだろ?」



あたしの言葉に、一瞬
母の顔が曇った。



『そんなに親に反抗して、楽しいんか? 親不孝して、えぇと思ってるん? 親は、子供を選べんのよ。あんたなんか、ほんまに生まなきゃよかった』




「誰も生んでくれなんて、頼んでねーよ!! 勝手に生んだのは、あんただろ!?」



あたしは、近くにあったサイドボードの引き出しの中からハサミを取り出すと、母に、そのハサミを持たせた。




「刺せよ! あたしなんか、生まなきゃよかったんだろ? だったら、自分の手で刺して、殺しなよ」




『……』





「−−−殺せって言ってんだよ!!」





あたしの叫び声が、
リビングの中に響いた。


< 43 / 68 >

この作品をシェア

pagetop