こんな娘で、ごめんね。
母は、その場にしゃがみ込み、あたしは、その手から、ハサミを奪い取ると、思いっきり、壁に投げつけた。



「子供だって、親なんか選べねーんだよ」




あたしは、捨て台詞を吐くと、階段を駆け上がり、部屋のドアを閉めた。





ムカつく。




ムカついて、しょうがない。




親が子供を選べないように、子供だって、親を選べないんだ。




あたしが、もし
親を選べてるんだったら、あんな耳の悪い母は選ばない。



あたしが、もし
親を選べてるんだったら、あんな薄情な父なんか絶対に選ばない。



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