こんな娘で、ごめんね。
ダイヤル式の黒電話の受話器をあげて、あたしは、明菜の家に電話をかけた。



『あんた、誰? 明菜だったら、いないよ。当分、家には、戻っちゃこないから』


けだるそうな女が、そう言った。




携帯電話もなく
ポケベルも持ってない。



自宅の電話にかけなきゃ、本人には、繋がらないのに、家を留守にしてたら、益々居場所が分からないじゃん。




あたしは、壁にもたれると、しゃがみ込んだ。





アンタナンカ
ウマナキャヨカッタ。




母の本音。
胸が痛い…。



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