こんな娘で、ごめんね。
Episode 5

お金がなくなれば、万引きやカツアゲをしたり、渋々、家に帰れば、勝手にタンスを開けて、お金を持ち出した。




だけど



いつしか、無造作に置いてあった通帳や印鑑も金庫の中に保管されるようになり、タンスの中にも金品になるような物はなくなった。




「おい。金くれよ」




そう母に言ったところで
『お金なんてない』と言われる。





「じゃぁ、もういい」




と、ドアを蹴り
自分の部屋に戻って、ベッドに腰かけた。






しばらくすると
玄関のドアが開いて、独り言を言いながら、母が外に出ていく音がした。





すかさず、あたしは階段を下りて、リビングに置いてある、母の鞄の中をあさり、財布の中から1万円を抜き取ると、そのまま母には何も言わずに、遊びに出掛けた。





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