こんな娘で、ごめんね。
−−−…?



あたしの体に冷たい感触が流れ落ちた。




なんで?
なんでなの?




目頭が熱くなり、喉の奥がヒリヒリしてくる。




部屋のドアを開けた瞬間
凍りついたあたしは、持っていたビニール袋を床に落とした。




バラバラバラッと大きな音をたてながら落ちた野菜。




『は……晴美……』




彼の動揺した顔。



彼の背後から、怪訝な顔をしながら、ひょっこり顔を出す女。




ベッドに横たわる2人。
散乱した衣服。



あたしは、泣きそうになるのをこらえて、彼を睨みながら「どういうこと?」と聞いた。




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