Bautiful World ー真心を君にー





帰り道は、空姉さんと手をつないで帰る。
今日あったこと、嬉しかったこと、色々話ながら帰る。



いつもと違うのは、帰り道、誰かが居たこと。



いつもはいない、深く笠を被り、帯刀した浪士。



「早瀬さんご姉妹ですかい?」



不気味に口を歪ませ、刀に手を掛ける。
それが恐ろしかった。
空姉さんが目配せで逃げるよ、と指示した。
顎を少しだけ引く。



「名は名乗らないよ。これから死にゆく人には名乗らない主義でね。」



浪士がスラリと刀を鞘から抜く。




「出雲、にげて!」



「嫌だ!」



私はそう叫ぶと背中から竹刀を抜く。



「出雲!」



空姉さんの甲高い声が聞こえた。




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