Bautiful World ー真心を君にー







それからはどれくらい経ったのだろうか。
ずっと同じ部屋にこもりっぱなしだ。
朝、藤堂さんが朝餉だといって食事を運んでくる。
その後交代でいろんな隊士が部屋の前にいるらしい。
昼の食事は、斉藤という人が運んでくる。
・・・・怖い。
晩はまた藤堂さん。




「・・・もうヤダ」




掠れた声が耳に響く。



もう、ろくに青い空も、青白い月も見ていない。
ずっと定位置で正座していることしかできない。
藤堂さんしか会話をしてくれない。
それもすぐにどこかへ行ってしまう。


ずっと部屋にこもりっきりだから、今外でどんなことが起こっているかもわからない。

そんなとき。




「失礼すんでー?えーっと?空音はんやったけな?」



いきなり襖がひらく。



「・・・誰?」



久々に女の人を見た気がする。



「女中のお凛っていうん。なかようしてぇな?あ、うちな。大阪からきてん、変な喋り方やもしれへんけど、我慢してな。」



無邪気に笑う女中さん。


・・・どこかで・・・


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