Bautiful World ー真心を君にー





「ほらぁー出てきてよ?みたらし団子、買ってきたよ?」



薫は空音がうずくまっている布団をツンツンとつつきながら、どこからともなく団子が入った箱を取り出した。
その匂いに反応して空音が少しだけ頭を出す。



「私のこと嫌いなんじゃないんですか?」


「うん、嫌いだよ?」


けろっとした表情でいう薫に空音は心が傷ついたが頑張って次の質問に移す。



「・・じゃあなんで話しかけるんですか!」



「えー・・・だって、俺の『素』を知ってる人なんて、君しかいないし。やっぱり『素』が一番楽でいいし。それに・・・」






薫は意地の悪い笑みを浮かべて話の続きを待つ空音を見る。



「嫌いな人が屈辱的な表情を浮かべてるの見てるのって・・・楽しくない?」



嬉しそうに笑う薫をよそに空音はずっと首を振り続けた。

歪んでいる。
この人はきっと人が傷ついてる姿が愛おしいのだ。
歪んだ愛情だ。




「失礼だなぁ。歪んでなんかないってば。」




薫がそう言ってまた笑った。













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