Bautiful World ー真心を君にー
ーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーー
ーーーーーーー
今なら、その役目をわかった気がする。
脇差の刀身に刻んである名。
それは、空音の名だろう。
失った6年前記憶の中の、空音の本当の名前。
誰か大切な人からもらった、脇差。
それを空音に返す、ということは空音の記憶が還ってくる手がかりになる可能性がある。
記憶が戻ったら・・・空音は私の前から消えてしまう。
もといた場所へと。
そもそも『空音』の名は、自分がつけた名。
空音が目を覚ましたあと、何も記憶がないを発覚したあと。
最初に空音が発した言葉。
『私は空になりたい。でも、届かない。届かないのです。憧れの存在・・・』
何も覚えてはいませんが、それだけは記憶にあるのです、と空音が言った。