左目のマスカット味
そんな気もしらずに、吏彩は口を開いた。
「あっ、由結ちゃんさあ、結城くん知r「知らない」
やたら早く答えた由結ちゃん。
「由結ね、最近忙しいのっ。あんな奴ら気にしてる場合じゃないから」
いまから生徒会だから、と付け足して、あたしたちの前を通りすぎた。
由結ちゃん、忙しいんやな…
それにしても、標準語って新鮮やわ…
と、思ったら…
「ちっ」
…誰だ今舌打ちをしたのはっ!?
あたしはキョロキョロと辺りを見渡す。
「だから由結ちゃん嫌いやねんー…」
「…ほぇ?」
「ほらぁ、見てみ?」
吏彩は由結ちゃんが走っていった方向を指さした。
由結ちゃんは、黒縁メガネの茶髪くん&日本離れした顔立ちの金髪くん(ラン)と楽しそうに喋っていた。
…間違えた
「由結ちゃんは、ぶりっこキャラで喋りかけているが、男子2人は引き気味である」の方がきっと正しい。
「狙ってるって噂…、本当だったんだ……」
「えっ、そうなん!?」
どっちを??、て聞こうと思い、吏彩の方を見ると少し俯いていた。
…泣いてるのかな。
吏彩、よく泣くからな。
「泣かないで、ね? もう、ばいばいしてるやん」
あたしは、一瞬で確認するとサッと立ち上がる。
吏彩の腕をあたしの腕に絡ませ、吏彩が転びそうになりながらも2人の元へ走った。