左目のマスカット味
「ランーっ!やっほー!!」
当たり前だけど、ランはこちらに目線を向ける。
後ろの茶髪くんも、軽く目線をやる。
「おお、アメミ!今日もちっせーなあ」
176cmのランはあたしを見下すように笑いながら言う。
「アメミって呼ぶな馬鹿!チビで結構ですっ」
ふんっ、と不機嫌になってみた。
「あはは、雨美いじるの面白い(笑) …で、俺になんか用?」
「いじるな変態! あっそうそう、ランと仲良くしたい子がおるねん!」
ほれっ、と あたしに隠れていた吏彩を前に出した。
「あっ、あたし、吏彩っ…樫野吏彩っていいますっ」
緊張でめちゃくちゃガッチガチな吏彩に、ランは一瞬だけ驚いた表情をしたけど、すぐに柔らかい笑顔になった。
「えっと、もしよかったら、メアド交換しませんかっ!!」
「…吏彩ちゃんなっ。俺は結城ラン、って知ってんのか」
「あははっ。うん、知ってんでっ!」
ランは、あははと笑った。
日本離れした優しい笑顔がランのチャームポイントだ。
「…なあ、そっちのちびっこは誰?」
…ん?
チビっこって??
「見渡す必要ないから」
ランじゃないであろう声と同時に、あたしの頭に手らしきものが乗っかる。
「…へ?…あたし??」
てか、あたしキョロキョロしとった???
「そっ!…名前は??」
「あっ、…ももi「ち、ちょっと!うちの娘いじめんとってくれる??」
茶髪くんから奪うように吏彩は後ろからあたしを抱きしめた。
「この子彼氏持ちなんやから!」
「ちょっ、吏彩!!」
「…やっぱし?どうりで可愛いと思った~」