左目のマスカット味


それから何分かして、吏彩が笑顔で帰ってきた。そんな吏彩を無視しながら着替えを始める。


吏彩は、カーテン越しに話し始める。


「ランがね、"雨美、成長したな"って言ってた!」

「…ふぅん」

(成長って 胸のこと言ってる…くそっ)


「陽なんてね、写メ見て 超照れてたよ! 意外と可愛いなって」

「…へぇ」

("意外と可愛い"は、吏彩が選んだにしては可愛いな.とか、センスあるって意味やな…)



「…あ、こないだのお礼にそれ買ったげる! それいくら?」


「んーとね……っ!!」


15000円!!??

え ちょ、高すぎやない!?

去年のやつなんて 3000円だよ!?



「なあ、いくらなんー?」



急かす吏彩。
恐る恐る、金額を口にしてみる。


「い、いちまん…ごせんえん……」







「15000円? 普通やなっ
 店員さん、先に会計いいですか?」




ふがーーーー!!!


普通だと!? 15000円が普通だと!?

こいつ金銭感覚おかしいんじゃねぇの!?



と 勝手に怒りながらも、着替えを済ませたあたしは 吏彩に買ってもらった水着を持って店を出た。



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