左目のマスカット味


やばい、寝そお…

と、目を閉じる寸前に


バン! と勢いよくドアが開いた。



…吏彩だ。



「アメちゃん 発見!!」

探したんだよ?? と言いながらあたしの隣に座る。

彩が「あめみ」って読み間違えたことからアメちゃんって呼ぶようになった。

あたし自身、飴玉が好きやからそのあだ名が好きだったり。



「アメちゃんのお弁当持ってきたよ」

「さんきゅっ」


あたしと吏彩はお弁当の蓋を開ける。

お昼休みは天国だ!と、ウキウキ気分でミートボールを口に入れた。




吏彩ってほんまに可愛い~…

ストレートな明るい茶色の長い髪に、身長167cmの脚長。
鼻が高く小顔な吏彩は化粧映えする。
運動も勉強もできる。

問題なっしんぐだね、うん。


あ、今日はピンクのアイシャドウ。
いつもブラウンやのに。
変えたんかな~…



と 吏彩に見とれていたら、卵焼きを掴んでる吏彩のお箸が止まった。

そして、こちらを向いて静かに挙手した。



「はい、樫野さん…」

だから、先生みたく当てた。



「カミングアウトします!!吏彩、…好きな人できてん!!」


「…えっ、うそやん!」


あの吏彩が!?

男好きで有名なあの吏彩が、男を1人に絞ることが出来るなんて…


「お母ちゃん、嬉しいわ…っ」


嬉しくて泣く(マネをする)あたし。




「結城ランって知ってる?」

目をキラキラさせてる吏彩とは裏腹に、名前を聞いた瞬間涙がひっこんだあたし。


「ランかよ。知ってるってゆうか、幼なじみやからな。」


「えっ、まじ!?」


「うん。ランのアドレス??そんなん、いくらでも教えたげるし!」



結城ラン。
保育園時代からの付き合い。

昔から変わらんのは、変態なとこ。
けど、ランは優しいから好き(←LoveじゃなくLike)


「…ぃや」

「えっ?」


「自分で聞きたいのっ!!」



吏彩は膝の上のお弁当をのけて地べたに座る。

「教室までついてきてください アメ様っ」

そう言って、土下座した。






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