見えもしない空
君との出逢い
――――――コンコン
「…どうぞ」
「もう~!!元気ないんだから。もっと元気出して霜月くん!」
僕の名前は
【霜月絢斗 シモツキ アヤト】
南総合病院の小児科病棟に入院してる。
病気なわけじゃない。
体が弱いわけでもない。
ただ生きていく上で必要な機能が
お母さんお腹にいるときから発達していないだけ。
そしてこの病室に入ってきたのは
最近になって僕の担当医になった
【佐々木麻菜美 ササキ マナミ】
歳が近くて喋りやすい先生。
生まれたときから病院にいる僕にとって
大きな支えになってくれてる。
「今日は何見てるの?」
「何も見てないよ。ってか見えないから」
僕は目が見えない。
生まれたときからずっと。
どんな病気かは知らない。
知りたくもない。
でも命に関わるほどの病気じゃないことは確かだ。
僕の病室は2人用で
カーテンで仕切られている…らしい。
ここにいる、もう1人の患者さんは
結構重い病気だって佐々木先生が言ってた。
「あの子…苦しそうね」
「うん…。」
目の見えない僕だけど
なんとなくこの患者さんの命が短いことはわかった。
「そろそろ寝る…?」
「そうしよっかな…」
こうして今日も僕は
孤独な夢の中に吸い込まれていった。