君と学校で
「まず、お前は鈴木樹里はどんな奴だと思う?」

「えっと、不良?」

「そうじゃなくて」

「え?」

「それは表面上だろ?鈴木自身の性格」

「樹里ちゃんの性格…。始めは優しそうな子だと思ったのに、実際話してみると嫌な性格だったから…」

「なんで後半の方が本当の性格って分かるんだ?」

そういわれてみれば、そうだ。

「1回話しただけでなぜ決め付ける?そしたら、お前が見てきた鈴木樹里はなんだったんだ?」

初めて会ったときの樹里ちゃん
悲しい顔をしてた樹里ちゃん

よく考えてみればあの樹里ちゃんはなんだったんだろう。

「それに、人は嘘をつく。鈴木は本当に泣いてなかったのか?」

もう一度、あの時の記憶をたどってみるあの時の樹里ちゃんは......
目は赤かったし、ただ目をこすってるだけには見えなかった


あきらかにあれは泣いていた。

「あ…」

思わず声を上げる。


「もう一度、よく考えた方がいいんじゃねえか?」

「でも、関係ないって言われちゃった」

「それもだ」

「?」

「関係ないなら…なぜ鈴木はハンド部を辞めてないんだ?別に部活に入るのは強制的じゃないだろ、なのに鈴木は部活に入ってる」

もしかして、樹里ちゃん…。

「心のどこかで…」

「「助けてほしいと思ってる」」

ここで、海斗さんと言葉が重なった。


海斗さんは微笑む。

「まぁ、わかんねぇけど…」

「ありがとう海斗さん!私、いってきます!」

急いで廊下に飛び出し走る。

「頑張れよ」

小さくだけど、後ろからそんな言葉が聞こえた。

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