初恋~First Love~
空には、真ん丸なお月様が浮かんでいる。
川の土手沿いをふたり隣に並んで歩いた。
「今日はわざわざありがとな」
「ううん、あたしも楽しかったし」
本当は、楽しんでる場合なんかじゃなかったけど。
「鏡花」
夏輝があたしを呼ぶ。
「なぁに?」
「おれな、転校すんだ」
やっぱり…
夏輝の口から聞いてしまうと、今迄はまだ望があったのに、すべてが消えてしまった。
あたしが返事をしない間に夏輝はどんどん話しだす。