空へ
ふぅ、暑ッ。

4月の初めだというのに、真夏のように太陽がギラギラしている。

俺ん家どこだったっけ?っていう焦りとともに、汗が絶えない。

制服のカッターシャツのボタンを上から2つ外し、今朝歩いた道を思いだしながら歩く。

この道歩いたような…あ、やっぱこっちかな?
うーん、分かんねぇ。

学校が終わって家に帰ろうとしてるんだけど、道に迷っちゃったみたい。

自分の家が分からないなんて、あぁ、バカだね、俺。

でもまぁ転校初日だから仕方ないよな…。

そう自分に言い聞かせてみるけど、やっぱり道が分からないのと、暑さでイライラしてくる。

ダァー!どこだよ、俺ん家!!

ってかここどこだよッ!

イライラを沈める為、ポケットからタバコを出した。

緑色のやつ。マルボロメンソール。

一応、周りをキョロキョロして、誰もいない事を確認してからタバコをくわえる。
まだ高校2年生だからね。

メンソールなので、吸うと喉がスゥーとする。

これで暑さ対策もバッチリ!
…な訳ないけど、イライラがだんだん落ち着いてきた。

そして、今日の学校の出来事を思い出した。



あれは担任の先生と一緒に教室に入った時だった。

クラス中からの視線を感じ、ちょっと緊張する俺。

「転入生を紹介する。今日転校してきた仲原だ」

体育会系の男の先生が、教壇に立ち、言った。
一気に皆の視線が興味に変わる。

そりゃ、そうだ。高校生で転校ってのも珍しい。

「仲原、自己紹介よろしくッ!」

先生はそう言い、教壇中央にコイコイ手招きした。

「はぁ」

気のない返事をする俺。
だってこういうの慣れてねーし。

「名前と、どこから来たのか、あと、そーだな…趣味くらいは言ってくれ」

体育会系の先生は、そう言ってニカッと笑った。

爽やかな笑顔だ。

多分生徒から人気のある教師なんだろうね。

俺は「あ、はい」
と返事して、教壇中央に立った。

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