空へ
理沙は恐怖に怯えるかのように、しゃがみ込んで頭を抱えながら体中をブルブル震わせていた。

さっきまでとは明らかに様子が違う。

理沙は、小さな声で「何で…何で…」と繰り返していた。

そんな理沙の姿を見て、陽菜の父親は泣きながら、理沙に言った。

「理沙ちゃん、これは事故なんだよ。仕方がないんだ」

理沙にそう言った後、今度はギブスの男に言う。

「山口さん…理沙ちゃんのお父さん…ですね?」

ギブスの男は、顔を上げ涙を流しながら「はい」と言った。

「これは事故だったんですよね?私は、あなたの過失でないことを信じたい。娘の友達のお父さんを責めたくはありません。…しかし、今日はあなたを完璧に許せる気にもなれない。なので、今日のところは、お引き取り下さい」

陽菜の父親は、そう言って二人の男を追い返した。

俺は、話の流れについていけず、ただ呆然としていた。



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