空へ
結局、晴貴は朝方に帰って来た。
「ちょっと晴貴、今まで何してたのよ!」
玄関でそう言う私を無言で振り払って、晴貴は家に入って行く。
「ちょっと…あ、お酒臭いッ!」
文句を言った私だけど、晴貴の飲みたくなる気持ちも分かる。
だって、一緒に漫才の勉強をしていた同期の人達が売れていくのを見ていたら、私だって漫才をやめたことを後悔するもん。
だけど、この日の晴貴は飲んじゃいけない。
晴貴の仕事は、バスの運転手だ。
「晴貴、今日の仕事休みなよ」
晴貴は、蚊の鳴く声で言った。
「いや、行く」
私は即座に罵った。
「バカッ!そんなんで仕事になる訳ないじゃん!」
「ダメだ。急に休める仕事じゃないんだ。1ヶ月も前から、この日は誰が仕事で誰が休みかって事が決まってるんだ」
「いや、でも…」
「それに、途中採用の俺が、入社してすぐに有給なんて使えねぇ」
「だけど…」
「大丈夫だよ、これくらい。それに、入社するために働きかけてくれた友人の顔にドロを塗りたくない」
晴貴はそう言って、スーツに着替えて、出て行った。
「ちょっと晴貴、今まで何してたのよ!」
玄関でそう言う私を無言で振り払って、晴貴は家に入って行く。
「ちょっと…あ、お酒臭いッ!」
文句を言った私だけど、晴貴の飲みたくなる気持ちも分かる。
だって、一緒に漫才の勉強をしていた同期の人達が売れていくのを見ていたら、私だって漫才をやめたことを後悔するもん。
だけど、この日の晴貴は飲んじゃいけない。
晴貴の仕事は、バスの運転手だ。
「晴貴、今日の仕事休みなよ」
晴貴は、蚊の鳴く声で言った。
「いや、行く」
私は即座に罵った。
「バカッ!そんなんで仕事になる訳ないじゃん!」
「ダメだ。急に休める仕事じゃないんだ。1ヶ月も前から、この日は誰が仕事で誰が休みかって事が決まってるんだ」
「いや、でも…」
「それに、途中採用の俺が、入社してすぐに有給なんて使えねぇ」
「だけど…」
「大丈夫だよ、これくらい。それに、入社するために働きかけてくれた友人の顔にドロを塗りたくない」
晴貴はそう言って、スーツに着替えて、出て行った。