空へ
私は、電話で約束した時間に、コンビニへと向かった。

「いらっしゃいませ〜」

コンビニに入ると、やる気のなさそうな声が響いた。

あら、あの店員さん、私より年下かしら。
うん、いい男ね。
顔や姿勢に覇気は感じられないけど、私好みの顔だわ…。

私はその店員に近づいて、言った。

「ちょっとごめんなさい」

「はい?」

「面接に来たんだけど、店長さんは居ますか?」

店員は私の声を聞いて、不思議そうに見つめながら言った。

「あぁ、バイトの面接ですね。そこの奥に入って突き当たり左の部屋に行ったら店長がいますよ」

店員は、レジの隣りにある通路を指差した。

「どうもありがとう」

私はそう言って、店員が指した方へと行く。

突き当たり左の部屋に行くと、ドアが閉まっていた。

「すみません」

ドアをノックすると、中から男の声がした。

「どうぞ」

私はドア開け、言った。

「失礼します、私、バイトの面接に来た本郷ですけど」

部屋の中には、一人の男と、対面して一人の女がいた。おそらく男が店長だろう。

「どうぞ、そちらにおかけ下さい」

店長は私を女の隣へと案内し、言った。

「お二人共、履歴書持って来ましたか?」

私は頷いて、持ってきたハンドバックから履歴書 を出した。

隣の女も、同じように履歴書を出す。

この娘もバイトの面接に来たんだ…。
じゃあ私とはライバルって訳ね。
負けてなるものですか!

私が勝手に敵意を向けていると、隣の女は、それに気付いたのだろうか、私の方を見た。

「何?」

面接中だというのに、女は声に出して私を睨み返した。

なんなのこの娘、腹立つわね。
冷めきった目つきしちゃって、ちょっと怖いじゃないの!

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