空へ
次の日、私は朝も夜もバイトに入らなかった。

リッピーに会うために…。

リッピーは当日で退院したこと、この日バイトを休むことをコンビニの店長に教えてもらい、リッピーの住所も教えてもらった。




昼過ぎに出発し、店長に教えてもらったそこは、木製2階建てのオンボロ文化住宅だった。

リッピー、こんなトコに住んでるんだ…。

さっそく、メモに書いてある102号室に向かった。

…ここね。

インターホン…
いや、呼び鈴も表札すらついていない。

ホントにここかしら?

仕方なく、ノックする。

ドンドンッ

「山口さーん。山口理沙ちゃーん!」

…返事はない。

「リーッピーぃ!わたしー!開けてー!」

−ガチャッ。

「はい、やまぐちです」

眠そうに、リッピーがドアを開けた。

リッピーは、不思議そうな顔で私を見た。

「何の用ですか?」

何?その他人行事な言い方。

「リッピー、あのね…」

私がそう言いかけた時、リッピーは驚いて私を見た。

「えッ!優太郎!?」

あ、そうか。
私、髪の毛切ったし化粧してないんだ。

「あ、そうそう。優太郎」

「マジでッ!あんたちょっと、どうしたのよ!」

驚くリッピーに、私はお茶を濁した言い方で、その話題は流した。

「あ、まぁ、言いじゃない。…それより、聞きたいことがあるんだけど」

「え、あぁ、何?」

「良美の事なんだけど、私ね、あれから色々考えたの」

リッピーは黙って聞いている。

「私ね、どうしても良美に償いたい。…今さらって感じだし、6年経った今、何をしても完全に償うことなんかできないのは分かってる。もしかしたら、何も償えないかもしれない。…けどね、せめて一言、謝りたいの!」

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