空へ
リッピーは、私を睨んで言った。

「ホントに今更だね。良美には彼氏がいるし、もう声も出るようになったよ!」

私は負けじと反論した。

「いいの!何もなくても、どうしても謝りたいの!もし、良美に謝れたら、私、変われそうな気がするの!」

リッピーは、溜息を吐いて言った。

「償いっていうか、自分の為じゃん」

「ごめん、そうだけど、そうだけどさ!」

リッピーはまた、鋭い目つきで私を睨んだ。

「ホントに、良美に謝ったら変われるんだろうね?」

私は即答した。

「うんッ」

するとリッピーは、「ちょっと待ってな」
と、部屋に入って着替えをした。

「じゃあ、良美に会える可能性が高い所に連れてってあげるけど、会えるかどうか分かんないからね」

「え、どういうこと?」

私がそう聞くと、リッピーは一瞬だけ悲しい目をした。

「今から良美の彼氏、だろうと思う奴の所に行くから」

「え、意味分かんない。良美の家に案内してくれないの?」

するとリッピーは少し怒鳴って言った。

「良美の家なんて知らないの!」

そして、また一瞬だけ悲しい目…。

「私も、もう2年以上会ってないし。ぶっちゃけ、良美が東京にいることさえホントのところ知らない」

リッピーが何を言ってるのか理解できない。

良美の住所を知らない?
良美の彼氏、だろうと思う奴って、何?

「だけどね、良美の彼氏、だろうと思う奴が、いつもいる所は知ってるから。そこに案内してあげる」

訳がわからない私は、とりあえずリッピーについて行くことにした。


私は、良美に会えることを強く願った。

強く。

強く…。

< 75 / 100 >

この作品をシェア

pagetop