空へ
理沙の闇

努と良美

あれ…

ここ、どこだろう…

学校の教室の中のような感じ…

あ、この光景、なんか見たことある…

教室の隅っこにいる3人組…

あの、机に俯せて泣いているのは…良美だ。
隣にいるのは陽菜…
そして…私?

なんか、みんな中学校の制服着てる…
懐かしいなぁ…

あれ?
なんで私、良美が泣いてるって分かったんだろう…。

あ、そうか。

彼氏に裏切られたんだったね。

「良美、もう忘れな!私があんたの彼氏になってあげるから!」

無茶なセリフだな…って、あれ?
あのセリフ、私が良美に言った言葉だ…。



−ダンダンッ。

え?なに?

−ダンダンッ。

何の音?

「山口さーん。山口理沙ちゃーん!」

あ…
誰か呼んでる。


…って、何よ、せっかく久々に眠れたってのにッ!

私は体を起こし、首を左右に捻り欠伸した。

うーんッ!
今日は良く寝たな。
最近全然寝てなかったもんな。

−ダンダン

「リーッピーぃ!わたしー!開けてー!」

もうッ。
うるさいねッ!

布団を蹴り上げ、玄関へ向かう。

ドアを開けると、そこには見知らぬ男が立っていた。



私は、男と電車に乗って目的地へと向かった。

男の名前は、優太郎。

昨日まで優太郎は、オカマのカッコをしていたのに、なぜか今日は違う。
化粧もせず、長い髪も切って、見た目オカマと思う人はいないだろう。


目的地の駅に着き、改札を抜けると、そこには15人程の人だかりが出来ていた。

私はその人だかりの中心を指差して言った。

「あれが良美の彼氏…だと思う奴だよ」

良美の彼氏、だと思う。…という言い方には訳があった。

あれは、私が静岡から東京に引越しする時の話…。

私は、陽菜の葬式に行かなかった。

努と良美に合わす顔がなかった。

「陽菜…ごめん。ホントにごめん…」

私は式場の前で泣いた。

陽菜と会いたい…

もう一度、陽菜の顔を見たい…

しかし、それは許されることではなかった。

陽菜の命を奪ったのは、私の父親のトラックなんだから…



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