空へ

『−努へ−

 毎日、私の所に来てくれてありがとう。
私、努のおかげでちっとも寂しくないよ。
だけど、悲しい。
良美の声が出なくなったんだよね…。
私、良美の事何とかしてあげたい。
大切な友達だから…。
だから、努にお願い。
良美を救ってあげて。
私にくれた愛を、今度は良美に分けてあげて。
私、知ってるんだよ。
良美は多分、努の事が好きだって…。
だから、きっと大丈夫。
努が頑張れば、良美の声はまた、出るようになるから…。
私、いつまでも天国で努と良美を見守ってるよ。


−陽菜より−』




私はこの手紙を書き、また陽菜の墓を訪ねた。

良美がいないことを確認する。

私は、空に向かって言った。

「陽菜、この手紙、置いて帰るけどいいよね?陽菜は分かってくれるよね?」

私は、陽菜が笑ったような気がした。

「陽菜、ありがとう」

私はそう言って手紙を残し、東京に帰ったのだった。



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