空へ
チャペルが鳴り、白い姿の二人が教会から出て来た。

その時、遠くからトランペットの音が響いた。

「ド〜ファ・ファ・ファ〜 ド〜ソ・ミ・ファ〜」

結婚行進曲のメロディー。

今まで笑顔だった理沙の顔が急に変わる。

トランペットを吹いている人は、私とたまちゃんが必死に探して、連れて来た人…。

理沙のお父さん。

「お、親父−!」

理沙がそう叫ぶと、理沙のお父さんは、背を向け、左手を上げて歩いて行った。

「親父、ありがとうッ!」

理沙はそう言った後、一息ついて、ブーケを投げた。

空へ空へと舞うブーケ。

ブーケはそのまま、私の手元に落ちて来た。

「わぁ、ヨッシー、やったねッ!」

隣にいたたまちゃんが、笑顔で私に言った。

私は、空に向かって叫んだ。

「ねぇー、陽菜ーッ!いいのーッ?」

空が笑ったように見えた。







『空へ』

−END−




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