大嫌いなアイツ

「龍司くん…。
　まだ病院?」

「うん…多分ね。」

「あたし行ってくる。」

「えっ!?」

「…話したいことが
　あるから。」



その時の奈津子の顔が…。



すごく優しい顔で。



胸がズキってした。



もしかしたら龍司のこと
好きなんじゃないかって…。



「…こ、優子っ。」

「へ?」

「何ボーっとして。」

「べ、別に…。」



言えない。



聞けない。



「もしかして…。
　勘違いしてない?」

「え…。」

「あたしが龍司くんに
　告白するとか何とか
　思ってるんでしょ。」

「っ…。」

「図星…。
　あんたねぇ。
　そんなことしないわよっ。」

「…ごめん。」

「全く…。
　大丈夫だから。」

「そうだよね…。
　ごめん。」