大嫌いなアイツ
「俺も好きなやついんだ。」

「そうなの?」

「あ、あぁ。」



だったら…。



「あたしと帰ってて
 いいの?」

「え?」

「好きな子いるのに…。」

「大丈夫。」

「そっか…。」



ほんとに大丈夫なの?



あたしに気使ってる
んだったら…。



「そいつ、すんげぇ可愛いの。」

「見たいな~。」

「だめ。」

「何でよっ。」

「でも…俺じゃだめなんだ。
 すんげぇ好きでたまんねぇ
 のに…。」

「亮くん…。」

「俺じゃねぇやつを
 想ってる。」

「ぇ…。」

「俺なら幸せに
 できんのにな。」



そう言って亮くんは
笑った。



「伝えたら…?」

「え?」

「その子に。
 気持ち伝えてみたら?」

「優子…。」

「伝えなきゃ分かんない
 こともあるよ?」

「…伝えてもいいのか?」

「うん。
 いいと思う。」




< 121 / 152 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop