大嫌いなアイツ
見なくたって分かる。



ねぇ、どうして?



「鍵…開いてた。」

「あ、うん。」

「閉めとけよ。」

「うん。」



どうしてそんなに優しい声で
話すの?



「何で、泣いた?」

「ぇっ…。」



あたし…賭けに出ます。



「聞いて…ほしい。」

「うん。」



途中で泣くかもしれない。



言えなくなるかもしれない。



でも…最後まで言うから。



「あたし…今ね?
 亮と付き合ってるの。」

「っ…。」



龍司の顔が歪んだ。



「でも、好きじゃないの。
 好きになれない。」

「…。」

「1ヶ月ずっと一緒にいたの。
 あたしを一番に考えて
 くれてる。
 だけど…好きになれなかった。」




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