大嫌いなアイツ
でも…スッキリした。



もう充分。



聞いてくれただけで
充分だから。



でも。



"ありがとう"って言えない。



それを言ったら本当に
終わりだから。



きっと龍司は新しい道を
歩き始めてる。



あたしは子供だ。



同じ場所でずっともがいてた。



もう前へ進むから。



最後くらい笑ってよ。



龍司の笑顔…見たいよ。



「龍司…笑って?」

「…。」

「最後くらい…笑ってよ。」



あたし、離れられなく
なるじゃん。



「優子…。」

「何も言わないで…。
 辛くなるじゃん。」



やっぱり…あなたとは
一緒にいれないんだね。



あたしは泣きそうになるのを
堪えて下を向いた。



その時…。



「っ!?」




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