大嫌いなアイツ
「…っ。」

「いいヤツ…見つけろよ。」



こんなこと言いたくもねぇ。



「っ…ふぇっ。」

「何で泣くんだよ。」



俺はそう言って優子を
抱き締めた。



「ぇっ…。」

「最後に…こうさせて。」

「…うん。」



あー…こんなに好きなのに。



ダメなのかよ。



「なぁ。」

「な…に?」

「キス…してもいい?」

「ぁ…うん。」

「優子…。」



最後だから言わせて。



「愛してる。」

「っ…んっ。」



最後のキス。



触れるだけのキス。



「ごめん。
 ありがと。
 俺戻んな。」

「…ばいばい。」

「気をつけて帰れよ。」




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