もう1度~私と先生と桜の木~




「なんでここにいるんだよ、類」


俺たちのところに現れたのは類だった。



「いやあさ、奏に勉強教えてもらおうと思ってたのになかなか戻ってこないから、職員室行ったんだよ。
そしたらよーたくんと図書室行ったって聞いてさ、様子見に来たんだ」


「類、ごめんね。

今日勉強教えられないや」


「いいよ、全然。

じゃあ帰る…って言いたいところだけど一言だけ言わせてもらう」


類は奏の頭に手を乗せると


「コイツもさコイツなりにいろいろあるんだよ。

だからあんま、責めないでやって。」


じゃあまた明日~

ヒラヒラと手を振りながら類は図書室を出ていく。


正直、悔しかった。

年下のくせに…というか俺の生徒なのに、

あんなカッコ良くて。

少なくとも俺が高校生だった頃、あんなことできなかった。



「やっぱり、付き合ってんじゃん」


「…え!?なんでそうなるの!?」


「今の見せられたら誰だってそう思うと思う!」


「そんな胸張らなくても…」


感情の高ぶりは類が現れたことによって完全に冷めて。

奏の機嫌も直っていて。


もう昨日のことはいいや。


終いにはそう思えてきて。

俺は奏にプリントを渡した。


もちろん、そのプリントを見た奏が

また不機嫌になったのは言うまでもないだろう。






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