もう1度~私と先生と桜の木~




「…先生さ、やっぱり先生なんだね」


「はあ?なんだよ、それ」


用意したプリントの1枚目を採点していると奏が言った。

ちなみにこのプリントを終わらせるのに1時間かかった。

普通なら30分もかからないはずなのに。



「っていうか、大人なんだね」


「はあ?」


「なんか気にもしてないし、余裕、って感じじゃん」


いったい奏は何が言いたいのだろう。

採点する手を思わず止めた。


「なんの話か教えていただけますか」

なぜか敬語になる俺。


「…昨日」

それだけ言って奏は黙る。

でも、その一言で十分伝わった。



「知ってたのか」


「うん。だって琴音と小学校からの付き合いなんだよ?」


そう言えばそんなこと前に言ってたっけ。



「奏には気にしてないように見えた?」

コクンと頷く奏。



「そっか。

でも俺、結構気にしてるよ。

っていうか動揺してる」










< 103 / 222 >

この作品をシェア

pagetop