もう1度~私と先生と桜の木~





「動揺?」


「そう。

生徒にあんなこと言われたの初めてだったから」


あんなに真っ直ぐな顔で、言葉で言われたのは初めてで。

だから、NOの返事を聞いたあとのあの顔を思い出すと胸が痛む。



「初めて!?ウソでしょ!?」


「こんなことでウソはつきません。」


「でも、よく聞くよ?

先生カッコイイ、とかスキだって言ってるのを」


「冗談では言われたことあるぞ?

でもあんな真剣に言われたことはなかった」


そう答えたあと、奏の返事はなくて。

だからまた採点を始めた。



「あんな時間かけてこんなに間違えてますけど」

採点を終えてプリントを渡す。


「うるさい。

だいたい間違えてなかったら補習やる必要ないじゃん。

この間違いをなくすための補習なんでしょ?」


相変わらず奏は正論しか言わない。

だから俺は黙った。


「先生?」


「ん?」


「やっぱり…生徒は恋愛対象として見れない?」









< 104 / 222 >

この作品をシェア

pagetop