もう1度~私と先生と桜の木~




どうして奏がそんなことを聞くのか分からなかった。

でも、答えた。


「見れない、って言うより見ちゃいけない、が正しいな。

俺、こんなふうだけどちゃんと教師だ、っていう自覚は持ってるからさ。

それにお前ら、10歳も年下だからなあ…」


「10コも上なら話、合わないしね」


「ん?奏、俺のことオジサンって言ったな!?」


「勝手に解釈しないでください」


軽く睨まれる。



「奏はさあ、彼氏とかいないの?」


「…え!?」


「いや、こういう話、1度もしたことなかったじゃん」


ああ、と言いながら奏はシャーペンをカチカチしている。


「そんなに長い芯出してどーすんの?」


「あ…ホントだ…」


「で、どうなの?

類とは付き合ってないんだろ?」


怪しいことに違いはないけど、

あんなにも否定されたら認めなきゃダメだろ。



「うん。付き合ってない。

それに彼氏は1度もいたことない」


奏はボソッと呟いてバツ印がつけられたところをカリカリと直し始めた。








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