もう1度~私と先生と桜の木~
「奏…そんなにその人のこと、好きなのか?」
「え?」
「顔に書いてあるから」
「…うん。多分、かなり好き。
どうしようもないくらい、好き。」
シャーペンを見つめながら呟く奏。
「そっか。
多分な、その人のことずっと思い続ければ意識してもらえるよ」
「無理だよ…」
「無理、って思った時点でできることもできなくなる。
無理かもしれない、そう思っても無理矢理にでも大丈夫って思い直すんだ。
そうすれば必ず、意識してもらえるようになる」
ふっとなぜか笑う奏。
「何笑ってんだよ~」
「ううん、なんでもない。
頑張るね、私。」
「おう。頑張れ!
俺、応援してっからな」
ありがとう、
そう言った奏は笑っていた。
その笑顔がどこか悲しげに見えたのは、
俺の気のせいだったのかもしれない。