もう1度~私と先生と桜の木~
ケジメ
「よしっ!それじゃあ体育館、行くぞ」
いつものように笑顔を浮かべたよーたくん。
みんなどこか寂しげに立ち上がり、廊下に出る。
そうして体育館前で番号順に並ぶ。
「なんか…あっという間だったな」
前にいる類が振りかえって、
しみじみとそう呟いた。
「うん。あっという間だった」
気づけば3年が過ぎていて。
ついこの間、入学式をやった場所で
今日は、卒業式を行う。
「奏、ちょっと大きくなったな」
「うるさいっ!
どーせ私はチビですよーだっ!」
これでも高校入って身長5センチも伸びたんだからね!
「冗談だよ、冗談。
でも、なんか…切ない気分になるな」
「そうだね。
高校、楽しかったなあ…」
類に出会って、
碧にも出会って。
琴音と同じくらい大切な友達が2人もできて。
それでいて。
よーたくんにも出会って。
切ない、とか悲しい、とか
嬉しい、とか。
そういう気持ちを知った。