もう1度~私と先生と桜の木~




「っていうかさ」


「ん?」


卒業式は無事に終わり、教室へ戻る途中。

さっきから言いたかったことを類にぶつける。


「なんであのタイミングで聞いてきたの?」


「何を?」


「そんな顔して…!

分かってるくせに!」


ごめんごめん、と言いながら笑う類。

相変わらず、意地悪だ。

私が何を聞きたいか分かってるくせに、分からないフリなんてして。



「聞くなら今しかない!って思ってさ。

式中に顔真っ赤にしてたし、

今だっ!!ってな」


「え…見てたの?」


「見てたっていうかビクッてなったの隣にいて感じたから


うわっ…!!

めっちゃ恥ずかしいじゃん!私!!


「また顔、真っ赤になってますけど」


「…うるさいっ!!」


類の肩をバシッと叩く。


そして、ふと思う。

こうして廊下で類とわーわーできるのも今日で最後なのだ。


そう思うと急に寂しくなった。







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