もう1度~私と先生と桜の木~






辿りついた、裏庭の桜の木の下。

3年前の春を思い出す。

たまたま見つけたこの木に、

私は吸い寄せられるように導かれ、見とれていて。

そして、この場所でよーたくんに出会った。



「あれ?こんなとこに奏発見」


少し目を赤くした、私の恋した相手。



「なんでこんなとこにいんの?

みんなと別れ、惜しんでこないの?」


「うん。いいの。」


ねえ…教えてあげる。

なんで私がここにいるのか。


みんなと別れを惜しみたかったけど。

でも、あなたに会いたかったから。

ここにいれば、必ず来るって思ってた。


そしたらほら…やっぱりあなたは現れた。



「…先生」



「おう、どうした?」


いつも通り返事をしたよーたくんは振り返った。


ねえ…教えてあげる。

どうしてあなたに会いたかったのか。






「…好き、でした。」






…この恋を終わらそうと決めていたから。










< 120 / 222 >

この作品をシェア

pagetop