もう1度~私と先生と桜の木~
辿りついた、裏庭の桜の木の下。
3年前の春を思い出す。
たまたま見つけたこの木に、
私は吸い寄せられるように導かれ、見とれていて。
そして、この場所でよーたくんに出会った。
「あれ?こんなとこに奏発見」
少し目を赤くした、私の恋した相手。
「なんでこんなとこにいんの?
みんなと別れ、惜しんでこないの?」
「うん。いいの。」
ねえ…教えてあげる。
なんで私がここにいるのか。
みんなと別れを惜しみたかったけど。
でも、あなたに会いたかったから。
ここにいれば、必ず来るって思ってた。
そしたらほら…やっぱりあなたは現れた。
「…先生」
「おう、どうした?」
いつも通り返事をしたよーたくんは振り返った。
ねえ…教えてあげる。
どうしてあなたに会いたかったのか。
「…好き、でした。」
…この恋を終わらそうと決めていたから。