もう1度~私と先生と桜の木~
「ずっと、不思議だったでしょ?
なんで私が先生のこと、よーたくん、って呼ばないのか」
「ああ」
私は顔をあげて笑顔を浮かべる。
「呼べるワケないよ。
よーたくん、なんて。
ドキドキして、呼べるワケ…ない」
何言ってるんだろう…
そんなことを思ってふっと笑う。
「センセ?
ずっと意地悪しててごめんね。
キツいことばっかり言ってごめんね。
だけど私、どうやって接すればいいのか分からなくて。
だからあんなふうにしか…話せなかった」
今、思い返せば後悔ばかりで。
もう1度、やり直したいと願ってしまう。
「俺、お前のこと…『特別だ』って思ってた」
「特別?」
「俺、すっげぇ、好きだった。」
ドキッとした。
「教師として、好きだった」
胸がズキッと痛んだ。