もう1度~私と先生と桜の木~




「おっ!やっと来たか~

どうせ桜見てたんだろ?」


「まあね」


グラウンドには懐かしい顔がいっぱいいて。



「にしてもスーツ、様になってるじゃん、類」


「お前は…ちょっと無理あるな」


「…サイテー」


「拗ねるなよ、奏ちゃん」


類に会うのは3ヵ月ぶりくらいだろうか。

普段は私服なのにスーツを着ているとなんだか、いつもの類じゃないみたいで。

少し、緊張する。



「にしても遅いなあ、よーたくん」

私がみんなと合流して10分以上が経っていた。

なのに一向によーたくんは現れない。



「奏、さっきまで一緒にいたんじゃないの?」


「うん、いたけど…」


碧は腕を組んで、はあ、と溜め息をついている。


「あ、アレじゃない?

奏がなんかよーたくんに言って、落ち込んでる、とか!」


ひらめいた!みたいな顔で言う碧。

でも私は首を振る。


「ないない。

よーたくんが落ち込むような話、してないもん」


「え?どんな話したの?」


「服装のこととか、彼氏のこととか…」


「あっ!もしかして…っ!」


と碧が何か言いかけたところで

やっと、よーたくんが現れた。








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