もう1度~私と先生と桜の木~
胸の痛み
「…はあ」
「…………」
「…はあ~ぁ…」
「…………」
「は…「ストーップ!!」
「それ以上溜め息ついたらここ、おごりにさせるぞ!」
成人式の次の日。
翔馬と行きつけの居酒屋にいた。
「なんでだよ!
意味分かんねーだろーが!」
「分かるだろ!
溜め息聞かされてる身にもなれよ!
俺のほうが憂鬱になるわっ!!」
「…うん、ごめん」
「なんか…やけに素直だな。
で、何があったんだよ?
話、聞いてほしいんだろ?」
翔馬はビールを俺のグラスに注ぐ。
シュワシュワと泡がたち、でもすぐに消えて行く。
「昨日さあ、久々に奏に会ったんだよ」
「奏ってあの奏ちゃん!?」
「うん、そう。あの奏」
「その響、なんか懐かしいな」
「それで、なんか分かんないけど。
アイツに会ってから、こうなんか胸が痛くて…」
「はっ!?何それ!気持ち悪っ!」
「気持ち悪いってなんだよ!」
「いや、女の子みたいなこと言うからさ。
っていうかそれ、恋だろ、恋」